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4D v17のオブジェクト、v15プロジェクトからの移行時の注意

4D v17のオブジェクト、v15プロジェクトからの移行時の注意

オブジェクト型を使う際に気をつけたいことに遭遇したので記す。今回はv15以前からのプロジェクトをv17に変換したケース。

当社では「JCL4D」という共通ライブラリを用意していて、v15以降でサポートされたMETHOD xxコマンドを使って、プロジェクトに読み込んで利用している。JCL4Dは各メソッドをテキストファイルに書き出して、GitHubにて管理している。

最近このJCL4D v17版を作成した。以下「JCL4Dv17」にはフォームをリサイズする機能が含まれている。ユーザがウインドウをリサイズした際に、4Dの拡大/縮小的な動きではなく、ボタン、リストボックス、フィールドの縦横が拡大/縮小、フォントサイズも大きくなったり小さくなったりする、ズームのような機能だ。ユーザがリサイズした際のズーム比率や、フォーム上のオブジェクトの座標を覚えておいて、あとでセットするために、オブジェクト型の変数を構造体のように使って実装した。この機能をv15から変換したプロジェクトにも読み込もうとしたところ、今回のケースに遭遇。

データベース設定の互換性のところに次のオプションがある。v15から変換したプロジェクトでは、このチェックは外れている。

□ オブジェクト記法を使用してオブジェクトのプロパティにアクセスする

JCL4Dv17はこのチェックがついていることを前提にしているので、どの道チェックすることになる。チェックしてからメソッドをインポートすれば問題は起こらなかった。うっかりチェックを外した状態で、自社製インポートメソッドJCL_A_method_importを実行すると、オブジェクト参照のところに変なゴミが入る。外部テキストファイルからメソッドを読み込んでMETHOD SET CODEするメソッドだ。問題の箇所を一部抜粋したのが次のコード(A)。

このコードでは、親メソッドから第三引数にオブジェクトのポインタをもらって、そのフィールドを参照している。「$inObjPtr->rowsHeight」となっていたコードにドット(.)が挿入されて「$inObjPtr->.rowsHeight」になっている。もとの外部テキストファイルのコードは次(B)。


C_POINTER($3;$inObjPtr)  //リストボックス情報オブジェクト
$inObjPtr:=$3

  //行の高さ
C_LONGINT($rowsHeight)
$rowsHeight:=($inObjPtr->rowsHeight)*$ratio
LISTBOX SET ROWS HEIGHT(*;$inListbox;$rowsHeight)

データベース設定で「オブジェクト記法を使用してオブジェクトのプロパティにアクセスする」にチェックしてから、あらためて外部テキストファイルからメソッドを読み込んでMETHOD SET CODEしてみたのが次のコード(C)。

「$inObjPtr->」の後ろのプロパティ名が認識されて、カラーシンタックスが正しく適用されている。ドットは挿入されていない。

「$inObjPtr->」は実体であるため、実体にドットを付けてobject.propertyという形に勝手に変更されてしまったのだろうか。METHOD SET CODEの仕様なのか、別のコマンドによるものか確認はしていない。

いずれにしてもv17以降では、そもそもオブジェクト型の変数は、もともとポインタのようなものだから、引数に渡す際にポインタにする必要がない。C_TEXTやC_LONGINT型の変数と同じように、オブジェクト型のまま渡せば良くて、参照渡しなのでプロパティに値を代入して戻すこともできる。

だから上記のコードも次のように変更するべきだ。

【注意】この表記はv15以前ではサポートされていない。

4D v17のオブジェクト、v16プロジェクトからの移行時の注意

4D v17のオブジェクト、v16プロジェクトからの移行時の注意

v16からv17に移行したプロジェクトの場合、データベース設定の「互換性」に次の項目がある。

1)オブジェクト記法を使用してオブジェクトのプロパティにアクセスする
2)オブジェクトではISO日付フォーマットの代わりに日付型を使用する

v17で新規作成したプロジェクトにこれらの項目はない。
オブジェクト型の変数はv15から使えていて、その当時は次のコード1のような使い方だった。

コード1:
C_OBJECT($obj)
OB Set($obj;”sl_id”;String(1))

$sl_id:=Num(OB Get($obj;”sl_id”))

ところがv17では次のコード2のように使う。

コード2:
C_OBJECT($obj)
$obj:=New object
$obj.sl_id:=1


$sl_id:=$obj.sl_id

両方とも使ってみたが生産性が違う。単なる表記の違いではなく機能が違う。コード1では、オブジェクトのプロパティに”sl_id”のように文字列を指定しているが、ダブルクオーツで囲むためカラーシンタックスが働かない。カッコ、ダブルクオーツ、セミコロンで囲まれているためか、フィールド名が違っていても気づきにくい。また、一部サポートされていないデータ型があるため、当社では上記のようにすべて文字列としてプロパティに値を代入していた。その結果としてオブジェクト内部ではデータ型は失われていたことになる。型チェックは働かない。

コード2では、ドットに続く表記はフィールド名になる。カラーシンタックスが働く。オブジェクト内部でデータ型が維持される。型チェックが働く。いいことしかない。

OB Setの記述を見つけたら、今のうちに全部置き換えておこう。OB Setは、コードの見た目も良くないし、v15からの実装という新しめのコマンドながら、すぐに博物館行きになりそうだ。ちなみにOB Setでセットされたプロパティの内容は、ドット表記でも参照できるし、その逆も可能だが、混在はやめたほうが良い。たいした手間ではないのでドット表記に統一しておくことをおすすめする。

 

リストボックスのプロパティで「セレクションハイライトを非表示」4D v17

リストボックスのプロパティで「セレクションハイライトを非表示」4D v17

行背景色配列(バックグラウンドカラー)、行フォントカラー配列(フォントカラー)を与えると、セレクションハイライト中のフォントカラーを制御できない、という問題が、v17で回避できるようになった。

v16以前は、次の図のように、選択行はOSで指定された色になり、文字色は黒、または指定した色になっていた。

文字色が反転しないため、これではハイライト色と文字色が近くなってしまって読みにくい。v17のプロパティで次の設定項目「セレクションハイライトを非表示」が追加された。これをチェックしてハイライトを自力で処理できる。自力ハイライトと呼ぶ。

図のようにリストボックスのプロパティで、次の3ヶ所に注目。

1)「セレクションハイライトを非表示」にチェック
2)「行背景色配列」に「vA01TB_lstBR_BakColor」を指定
3)「行フォントカラー配列」に「vA01TB_lstBR_FontColor」を指定
4)リストボックスのOn Loadで配列に色を代入
5)リストボックスのOn Selection changeで選択された行の背景色とフォントカラーを代入

すると次のようになる。

・色つきの行:文字が緑で背景が黄色 → 自力ハイライト:文字が黄色で背景が緑
・色無しの行:文字が黒で背景が白 → 自力ハイライト:文字が白で、背景が緑

勝手にハイライトしてくれないので、色を付けていない行も含めて、選択行が変化したときに常に配列に色を代入する必要がある。色は、配列に代入したときに適用されてリストボックスに表示される。

 

メソッドエディタから4D COC CENTER ランゲージリファレンスを開く(v17)

4D オンラインマニュアル

メソッドエディタから4D COC CENTER ランゲージリファレンスを開く(v17)

v16以前からの仕様なので、いまさらのネタではありますが、何度もひっかかっているので書いておきます。

メソッドエディタで、4Dコマンドのリファレンスが見たくなるとき、optionキーとcommandキーを押しながらコマンド名をクリックすると、クリックしたコマンドのリファレンスがブラウザーに表示される。v17で作成したプロジェクトの場合はv17のランゲージリファレンスが表示される。と、ここまではOK。

問題はv16以前から移行してきたプロジェクト。option + commandクリックすると、v16のランゲージリファレンスが表示される。たいていの場合はv16のリファレンスが開いても内容がほぼ同じなので事足りるが、新しく追加されたコマンドの周辺を探っている場合、v17で新しく追加されたコマンドがないので、ヒットしなかったり、v16の古い情報が表示されたりして不便。ヒットしなかった場合はマニュアルサイトのv16のトップが表示される。

原因は、4Dの環境設定にある。v16から移行したプロジェクトでは、「一般」の「ドキュメントの場所」に「Webサイト:」の項目があって、これがv16のサイトを指したままになっている。

ここをv17に修正すればよい。

 

 

4D リストボックスの列幅拡大「カラム自動リサイズ」(v17)

リストボックスの列幅拡大

これはうれしい。ウインドウを拡大したときに、拡大対象の列を指定することができる。v16からあったらしいが、確かめたのはv17。少し面倒な手順もあるのでここに記す。

4Dには画面をリサイズする機能がある。フォームを作成すると、デフォルトでフォームプロパティの「固定幅」と固定高さ」はノーチェック。これでフォームを横方向と縦方向に拡大/縮小ができるようになっている。

4Dv15以前から、リストボックスを配置して、プロパティで「リサイズオプション」で「横方向サイズ変更」をチェックすると、フォームの拡大に伴ってリストボックスが拡大する。しかし「最も右のカラムのみがリサイズされます。」とマニュアルにもあるように、例えば次のフォーム。

フォームを拡大させると一番右の列が拡大されるけど、消費税の列が拡大してもうれしくない。

摘要の列が広がってほしい。

v17では(v16からあったようだが確かめていない)「カラム自動リサイズ」をチェックすると、列ごとに幅を拡大するかどうかを指定できる。

次に、消費税の列の「座標とサイズ」プロパティで「最小幅」と「最大幅」を「幅」と同じ68にする。これでこの列は固定幅を指定したことになるが、すべての列が固定幅だとやはり一番右の列が拡大する。

拡大させたい列は「摘要」。「最小幅」は「幅」と同じ144、「最大幅」はデフォルトの32000にする。これで「拡大されたあと、元に戻るときに最小で144以下になって欲しくない」という意味と、「拡大の最大値は無限」という意味になる。拡大のときだけじゃなくて、縮小のときにどの列が狭くなって欲しいかも設定しておくのだ。縮小のときは各列がまず最小幅になろうとするので、最小幅に144を与えると、この列の縮小は144で止まり、さらにリサイズすると別の列が狭くなっていって、これ以上狭くなる列がないとリサイズができなくなる。

これで「摘要」列だけを拡大させることができた。

 

【注意】
1)「拡大させたくない列」すべてについて、上記の消費税のような設定をしなくてはならない。
2)「拡大させたい列」については元に戻るときの最小幅も設定しなくてはならない。
3)v16以前から変換されたプロジェクトではデフォルトで「カラム自動リサイズ」はオフになっている。

参照:
4D v17

リストボックス特有のプロパティ

http://doc.4d.com/4Dv17/4D/17/List-box-specific-properties.300-3743666.ja.html